舞囃子『春日龍神』塩津哲生・一噌仙幸・大倉源次郎・柿原祟志・観世元伯 しっかりとした地謡。シテは「難陀龍王」と、どっしりと謡うと、気配が変わり、重みの有る『足拍子』が美しい。 「百千眷属」と『角』に出て、舞台を廻ると雄大で、「聴聞する」と座ると静まるが、内に力が篭っていく様。「引き連れ〜」と『正先』に出て、どっかりと『安座』するのも、ゆったり目の舞働も余裕が有って、大物の風格。「天に群がり」と上を『サス』と周りの空気が雲の様にまとわりついている様に思えた。 仕舞『歌占』友枝昭世 どっしりとした謡。静かに立つと、緊張感が有って、ただならぬ気配。 “タメ”の有る型とさらりとした部分のバランスが良く、地謡もとても良かった。 仕舞『柏崎』内田安信 シテは陶然とした風で「されば始の」と謡いつつ、少し明るめの雰囲気。 続く地謡もたっぷりとして良いが、その後のシテの印象はちょっと弱め。 仕舞『山姥』佐々木宗生 雄大な様子で、少し荒い様なところも有るけれど、マズマズ。 地謡が所々乱れ気味で惜しい。 独吟『徒然』高林白牛口二 「あだし野の」と、すっと自然な謡だし。「世は定めなきこそ〜」と、しっとりとしているが、男っぽさが有って、“背中で語る”様な深い綺麗な謡だった。 この曲は「徒然草」の七段をそのまま謡にしたもの。喜多流にのみ伝わるらしい。 狂言『悪太郎』野村萬斎・野村万之介・野村万作 萬斎さんの悪太郎は、「この長刀は切れましょうかの」とわざとらしく見せびらかす感じが、良いと思ったが、酔っ払ってから、長刀を振って見せたり、目が覚めて驚く様子はやりすぎな気がして、そうなると、初めの部分もわざと、わざとらしくしているのでは無く、今日は全体にわざとらしい演技なのかなぁ…とも思えてしまう。。 僧:万作さんの登場後は、流石に息がぴったり。 『定家』香川靖嗣・宝生閑・宝生欣哉・則久英志・野村万作・一噌仙幸・大倉源次郎・柿原祟志 シテの『呼掛ケ』は、どこかから風にのって届いた様に静かでさらり。 ゆっくりと現れると、しっとりと謡い、対するワキも上品。 地謡『上歌』は侘しげで、「物凄き〜」と下がる様子も寂しそう。 シテは「お僧に申すべき〜」とゆっくりとワキの方を向くと、すがる様な気配。 静かに語りだし、「ともの邪淫の」と重苦しげで、哀れ。“墓”の前(左より)に座ると、静かな『クリ』。「絶えなば〜」としみじみとして、続く地謡はしっとり。「後の心ぞ」と重くてとても綺麗な謡。 シテ「げにや嘆くとも」と絞り出す様なつらい雰囲気が良い。 「今は包まじ」と気品が有って、「これまで」と立ち上がって右に回り、「石に」と“墓”を見て、寄り、陶然とした感じで“墓”の中へ。。 ワキ・ワキツレ「夕べも過ぐる」としっとり。 シテは“墓”の中から「雪かとよ」と静かで、「昔は松風〜」とたっぷり。 「そとはつれなき」で『引廻シ』をを下ろす。 ワキ「あらいたはしの」と優しく、シテは静かに綺麗な謡。 「あら、ありがたや」と少し強く謡い、地謡「一味の」とはっきり目で、「定家葛も」と触れる様に手を上げて“纏わり付く葉”を見つめ、ゆっくりと外に出る様子が印象的。 「火宅を出でたる」と、たっぷりとした謡で、思いがこもり、ワキに向かって手を合わせると柔和な雰囲気。 ゆったりとした舞は女性的だが、威厳が合って、『オロシ』で時が時が止まった様に立ち止まると、その後はとても静かで、悲しげ。“墓”の前で扇を上げ、「面無の」と静かで、扇を回すと、一瞬輝く様に綺麗で、「もとより」から暗めの気配になって「桂の眉墨」と扇で眉を指し、「おちぶるる」と下がって『シオリ』、左に回って、「恥づかしや」と扇で顔を隠しつつ、『角』を向く様子は、可愛いらしく、哀れ。 「夢の中に」と“墓”の方を向き、「ありつる所に」と“墓”の右の柱を掴んでそれを軸に回るように、中に入って右に出、「這い纏はるるや」と左の柱を持って入って左に出て、「定家葛の」と正面から入って、『角』を向き、「形は」と下がって座り、身を抱くように両手を重ねると、そのまま『トメ』。 柱に纏わりつく様に回る様子は、自身に呪縛をかけている様で、定家の姿とも重なるが、それよりも本当は内親王自信が定家にすがっているいる様にも見えて、葛の中に甘んじて埋もれていく様で、美しかった。 すっかり書くのが遅くなって、一月遅れになりましたが、08年はこれで見納めでした。 |
国宝 松雪図と能面 (報告)
2009-01-04 03:36展示室1〜3までは、能楽に関連する銘の付いた茶道具や、新年に相応しい取り合わせの茶道具の展示。(こちらは、あちこちで見たことが有る物が多く、微妙。)
展示室4〜7に能面を展示。旧金剛宗家伝来の能面54面が揃うのは見もの。
午前中に行ったが、空いていた。
細川家の能面・能装束 (報告)
2009-01-04 03:57展示数が少ない事も有ってか、こちらも空いていた。クリスマスだからとポストカード(3枚入)を下さった。
能面の他に、装束、小鼓の胴、烏帽子なども有って、個人的には三井の展示より面白かった。
又“能絵合かるた”というカルタが展示されていた。4枚の絵合だから、花札の要領で遊べるのかと思ったが、よく見ると、カルタに十五点とか五十点とか書かれていた。遊び方さえ分かれば、自分で作るのに…。
08年12月27日 能狂言と茶の湯 (報告)
2009-01-04 04:21講師は橋本朝生先生。
能に縁の茶道具は山ほど有るが、能の中に“茶の話”は出てこないので、このタイトルでどういう話をするのか、興味深かったが、結局狂言の話しばかり。
茶が出てくる狂言の、その部分を読んで、茶屋の形式、茶の種類などを読み解いたり、茶筅で茶をたてる仕草をする狂言を紹介したりするが、狂言になじみが有る人にとっては、珍しい話は無く、せめてVTRでも録音でも聞かせてくれれば良いのに、と思う。(珍しい曲が多く、VTR等用意出来なかった、とのこと)
もっとも、この講座が茶道関係者向きのものだから仕方ないのか…。
能絵合かるた
2009-01-06 22:25明けましておめでとうございます!
昨年はいろいろお世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
永青文庫、行かれたんですね。
かるた、いいですよね〜。
どうやって遊ぶのか学芸員の方に質問すればよかった・・・と
私も帰ってから後悔しました。
復刻版が出たら能楽ファンに売れるかも?
お殿様のお茶碗でお茶されましたか?
Re^5: 能絵合かるた
2009-01-07 03:43明けましておめでとう御座います。
こちらこそ、大変お世話になりました。今年もよろしくお願い致します。
永青文庫、ぎりぎりの日程で見てきました。展示品は少ないけれど、面白かった〜。行って正解でした。
お茶はしませんでした。時間が無かった、いや、無くなってしまったので…。
というのも、カルタ作りたいってのは半分本気で、何の曲で、何が書いて有るか、が分かる程度に…かなり雑にですが、スケッチしていたのでした。
でも肝心の遊び方が…。仮にカードを作って、遊んでみれば何かわかるかな?とも思うのですが、そんな暇が作れるか。。